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ムショクdeチョキン0ダケド、タイのホテル移住

タイでデモが起こる理由。タクシン派と反タクシン派の対立。

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ここ最近タイのデモに関するニュースが紙面をにぎわせている。

先日の12月1日にも

 

タイ反政府デモ タクシン派との衝突で死者3人に 首相府占拠に警官隊は催涙弾で対抗
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131201/asi13120121190004-n1.htm

タイの反政府デモ隊が大規模な抗議活動を行った1日、首都バンコクの首相府周辺では警官隊とデモ隊が対峙(たいじ)し緊張が高まった。
11月30日夜には反政府デモ隊と政府支持派の衝突が発生するなど、少なくとも3人が死亡、約60人が負傷した。
一連のデモで死者が確認されたのは初めて。
反政府デモ隊側は抗議活動の継続を主張、混乱が収拾するめどは全く立っていない。

 

タイのデモタイにおけるデモの様子。flickr

 

タイのデモに関して全く知識のない人は

 

反タクシン派(反政府デモ隊)とタクシン派(政府支持派)?

反タクシン派のイエローカラーとタクシン派のレッドカラーは何を示すの?

2013年11月30日夜に起こった反政府デモ隊と政府支持派の衝突は民間のデモ隊同士の衝突?

 

以上の点が主な疑問点になるだろう。

今回はこれら用語やタクシンという人物を中心にタイでデモが起こる理由について解説していこうと思う。

タイでデモが起こる理由についてより簡潔に知りたいという人は、タイでデモが起こる理由をわかりやすく説明する。バンコク・デモの最近の情勢。 の最初を参考に。

タクシンとは?

生い立ちから政界進出まで

タクシン派と呼ばれるところのタクシンとは、タクシン・チナワット、タイの元首相のことを指す。

タクシン・チナワットはタイの北部チェンマイで生まれた典型的な中国系のタイ人である。
タクシン・チナワット
http://news.mthai.com/politics-news/262137.html
タクシン・チナワット氏

 

彼の一族はシルクで成功したチェンマイでは有名な一族であり、現在もタイで有数のシルク・ブランドの地位を誇っている。

タクシンはタイの警察士官学校を首席で卒業し、内務省警察局に警察少尉として任官する。

タイの警察は非常に給料が低く、そのためタクシンも以前から副業を持っていた。

 

彼は警察官として赴任した後、そのコネクションを活かし、政府機関へのコンピューターのリース事業をはじめ、警察局へのコンピューター納入にも成功している。

警察局を辞任した後は、チャーチャーイ政権下の利権政治時代に通信事業の免許獲得に躍起になり、タクシン・チナワット系企業は22件の通信事業免許のうち7件も獲得した。

そして、通信事業の免許獲得により、タクシン・チナワットは一気にビジネスを飛躍させ、やがて政界へも目を向けるのだった。

 

タクシンの政界進出。

タクシンは1994年チャムローンの法力党(パランタム党)の一員として外務大臣に就任し、次のバンハーン政権では副首相の座についた。

1998年になるとタクシンはタイ愛国党を結成、次の選挙の基盤作りではチナワット系企業からの潤沢な政治献金で地方の有力議員を集めた。

タイの国民の半数は農民であり、農民の関心を得るために農民の借金の返済を3年間猶予、全ての村に100万バーツ(約300万円)ずつ配分する村落基金、30バーツで診療してもらえる制度も作ることを約束。

ポピュリズム的(人気取り的な)な要素を盛り込んだタクシンの政策は、貧困層や人口のおよそ6割を占めると言われる農村部を中心に支持され、選挙でタクシン派が勝利した。

 

反タクシンの台頭。

しかし、タクシンは強固な基盤を持つ絶対与党に仕立て上げるために自身のタイ愛国党の議員が敗れた選挙区への予算配分を止めると脅すなど、権威主義の再来とみなされるようになる。

これらの強権政治と民衆に夢を売るだけで実行に移さない売夢政策の多さから、北部の農民や貧困層と違い恩恵をあまり受けなかった南部を中心とする都市部の中間層で反タクシン運動が始まる。

反タクシン運動の高まりの結果、タクシンは下院を解散し、選挙で民衆の判断が下されることになった。

その結果、タクシンの政党であるタイ愛国党は圧倒的な勝利を収めたが、首都バンコクの選挙区ではタイ愛国党への投票以上にボイコットを示す白票が投じられ、国王はこの選挙が有効かどうか裁判所が判断すべきと異例の意見を出した。

そして、最高裁判所はこの選挙は無効との判決を下すが、これはタクシン暫定政権の延長を意味するものであった。

 

タイ国軍のクーデター

タクシン暫定政権の間は、軍内部でもタクシンの身内で要職に就いているタクシン派と反タクシン派の対立が起こった。

そして、2006年9月19日反タクシン派を中心とした軍部は、タクシンがタイに居ない間にクーデターを起こした。

クーデター時のタイ国軍兵士
クーデター時のタイ国軍兵士 flickr

 

イギリスへ亡命と放浪生活へ

タイでクーデターが起きた翌日の2006年9月20日、タクシンは滞在していたニューヨークからロンドンに移動したが、これが事実上の亡命とみられる。

その後、2008年11月8日に英国政府がビザの停止を発表し、NHKが2009年3月にドキュメンタリー「沸騰都市」で行ったタクシン本人への電話インタビューでは「所在を転々としている」と明かしていた。

 

参考資料

wikipedia タクシン・チナワット

 

反タクシン派とタクシン派。そのシンボルカラーについて

このようにタイではタクシンを中心としたタクシン派と反タクシン派の対立により現在も政治的な不安が起きている。

以下ではこのタクシン派と反タクシン派という用語に絞った解説をしていこうと思う。

 

反タクシン派

反タクシン派:民主市民連合。黄シャツ隊、黄服軍団とも呼ばれる。
反タクシン派 イエローカラー
(2008年11月25日、反タクシン派は「ヒロシマ作戦」と称し公営バスや、首相府占拠後に政府の臨時庁舎となっていたスワンナプーム国際空港、ドンムアン空港を包囲、占拠した。)

 

反タクシン派の民主市民連合(PAD)は軍や裁判所、官僚といった既存の権力層や都市中間層を基盤とし王室護持を掲げている。

タクシンは、比較的裕福である首都バンコクをはじめとした南部の富を北部へ流し、北部の貧困層の生活改善に繋げたが、反タクシン派はこれを「タイ北部のチェンマイ出身のタクシンが、自身の私腹を肥やすための政策であり、金銭バラマキによる人気取りのための政策(ポピュリズム政策)であって、こうして金で買われた票による選挙は公正でない」と主張している。

 

タイでは曜日ごとに色があり、月曜日は黄色となっている。

ラーマ9世(プミポン国王)の誕生日の曜日が月曜日であることから、王室護持を掲げている民主市民連合のシンボルカラーは黄色になっている。

 

タクシン派

タクシン派:反独裁民主戦線。赤シャツ隊、赤服軍団とも呼ばれる。
タクシン派レッドカラー

タクシン派(反独裁民主同盟:UDD)の主な支持基盤はタクシン政権時に大きな恩恵を受けた東北部の農民や都市の貧困層である。

シンボルカラーは、タイの国旗の中にある国民の団結心と国家を表す赤。

 

反政府デモ隊と政府支持派。

昨今のタイのデモに関するニュースを見ていると、タクシン派や反タクシン派という言い方よりも反政府デモ隊、政府支持派といった言い方が目立つ。

これはタクシン・チナワットが退陣し、海外へ亡命した後も選挙ではタクシン派の議員が度々政権を握るためである。

 

タクシン・チナワット退陣後のタイの政権推移

0.タクシン・チナワット首相

1.サマック・スントラウェート首相(タクシン派)

2007年12月~
2006年9月に起こったクーデターの後は陸軍大将がしばらく首相の座についたが、2007年12月にはタクシンが亡命した後初めて総選挙が行われた。
サマック・スントラウェートは無所属だったが、旧タクシン派に担がれて選挙に勝利したため、反タクシン派からはタクシンの傀儡政権とみなされる。
その結果、反タクシン派によるデモが起こり、彼はバンコク非常事態宣言を出した。
再度の軍のクーデターを期待した反タクシン派だったが、軍は静観を決める。
しかし、司法(憲法裁判所)はサマック氏がテレビの料理番組に出演し報酬を得たことは、憲法で定められた「首相の副業禁止条項」に抵触したと違憲判断を下す。
これをうけて、サマック内閣は総辞職する。

2.ソムチャーイ・ウォンサワット首相(タクシン派)

2008年9月~
サマック内閣の総辞職後9月9日に、ソムチャーイは首相臨時代理に就任し、国会で首班指名を受けて、同月17日に首相に就任した。
反タクシン派の民主市民連合は、再度タクシン派のソムチャーイ・ウォンサワットが就いたため、首相府占拠やスワンナプーム国際空港占拠などの過激なデモ活動を行った。
その結果、憲法裁判所による司法クーデターが発生し、2007年12月総選挙の組織ぐるみの選挙違反を表向きの理由にして、国民の力党は解党処分となる。
ソムチャイ首相を含む党幹部の公民権を5年間剥奪するという違憲判決が出された。
ちなみに、彼の妻はタクシン・チナワットの妹。

3.アピシット・ウェーチャチーワ首相(反タクシン派)

2008年12月~
2008年12月2日、与党であったタクシン元首相派の国民の力党が選挙違反のため憲法裁判所によって解党を命ぜられ、首相ソムチャーイ・ウォンサワットが失職、これを受けて2008年12月15日に下院で行われた首相選出選挙で235票を獲得、198票を獲得したタクシン派のタイ貢献党のプラチャ・プロムノックを破って首相に選出された。
実務訪問賓客として来日経験もあり。

4.インラック・シナワトラ首相(タクシン派)

2011年8月~現在
2011年7月3日に施行されたタイ王国国民議会の人民代表院総選挙にて、タイ貢献党首相候補として選挙戦を戦った。
タイ貢献党は、選挙前より79議席も増やして500議席中265議席を獲得、過半数を制して勝利し、他の5つの党との連立で300議席という安定政権を作ることにも成功した。
8月5日に下院で第36代タイ王国首相に選出され、8日に正式就任した。
タクシン・チナワットの実の妹。

 

引用元

wiki サマック・スントラウェート
wiki ソムチャーイ・ウォンサワット
wiki アピシット・ウェーチャチーワ
wiki インラック・シナワトラ

 

上記通り、現在のタイの首相はインラック・シナワトラという女性で、彼女はタクシン・チナワットの実の妹でもある。

追記:違憲判決でタイのインラック首相失職

2014年5月7日に政府高官人事で職権を乱用したとされる裁判で、タイの憲法裁判所はインラック首相の行為は憲法違反とする判決を下す。

「人事権の職権乱用」という意外な理由でインラック首相は失職に追い込まれた。

詳しくは2014年5月タイでクーデターが起こった理由と経緯をわかりやすく説明するを参考に。

 

インラック首相(インラック・シナワトラ flickr

反政府デモ隊と政府支持派

このようにタクシン・チナワットの登場以降、タイの政治では常にタクシン派と反タクシン派の権力闘争があり

タクシン派が政権を取ると、反政府デモ隊は反タクシン派で政府支持派がタクシン派。

反タクシン派が政権を取ると、反政府デモ隊はタクシン派で政府支持派が反タクシン派。

になるのだ。

 

今回(2013年11月)のデモのきっかけ

今回デモが再度始まったきっかけになったのは、上記通りタイ国外に逃亡中のタクシン・シナワット元首相(64)を帰国に導くために恩赦*(おんしゃ)法の審議をインラック首相が始めたことに端を発する。

これを見過ごしてはタクシンの復権につながり、反タクシン派は巻き返しが出来ないと判断したためだろう。

対立の根幹であり、タブーでもあるタクシン元首相に触れたことによりそれが再燃したのだ。

*恩赦:行政権(又は議会)により国家の刑罰権の全部又は一部を消滅 若しくは軽減させる制度のこと。

 

まとめ

以上のように、タイでは正式な選挙でタクシン派が勝っても、裁判所では無効判決が出たり、軍によるクーデターで首相が退陣する事態になっており、タクシン派は国民からの支持を得れても支配階級の力により政権を維持できない状態になっている。

政治不安を解消するために期待された国王も、権威主義を嫌った反タクシン派を擁護する立場になっており、こうした不安定な情勢は今後も続く可能性が高い。

急速に成長した経済の裏で、現在も政治的な対立がタイの足を引っ張っているのだ。

 

2013年12月10日 追記

先日新たな情報が入ってきた。

2013年12月9日 インラック首相が下院を解散、来年2月2日までに総選挙実施
http://www.cnn.co.jp/world/35041119.html

バンコク(CNN) タイ政府の報道官は9日、インラック首相が下院を解散したことを受け、総選挙が来年2月2日までに実施されると発表した。
報道官はまた、「(与党)タイ貢献党がインラック首相を次期首相に選ぶかどうかわからない」と述べた。

インラック首相は同日、テレビ演説で、下院を解散して総選挙を実施すると発表。
「我が国とタイの国民にこれ以上の損失が出ることは望まない。下院の解散を決意した」と語った。

反政府デモ隊と政府支持派。の流れが今もなお続くタイ。

タクシン派と反タクシン派の対立はこれほどまでに根深い。

 

追記

2014年5月22日におけるタイのクーデターに関してはタイでクーデターが起こった理由の記事を参考に
 




     
著者・付利意雷布亜(フリーライファー)
     
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ブロガー、アフィリエイター。
30代から大阪のボロアパートとバンコクのホテルパタヤのホテルを行き来する半セミリタイア生活をしています。 所得はウェブサイトを運営する事による広告収入から得ています。
著者が書いた本に関しては電子書籍を販売する4つの理由他のブログ、ソーシャル上のレビューも参考に。
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コメント & トラックバック

  • コメント ( 11 )
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  1. タイ有権者の判断を見下している。
    上からの目線。

    言葉の端々に脚色が加えられている。
    現場100回。

    • わかりやすい解説記事のように思えました。
      批判するのであれば、どのような点に脚色が加えられているのか等、具体的にご指摘いただけるとありがたいです。
      現場に何度も行かれたのであるならなおさらです。

      • コメントありがとうございます!

        特に脚色したつもりはなくいくつかの参考資料をわかりやすくまとめただけなんですがね。。。。
        人によっては読み方が異なるのかもしれません。

  2. タイの情勢不安について調べていました。
    タクシン派、反タクシン派、政府支持派、反政府派
    の違いがよくわっかっていなかったので
    とても勉強になりました。

    • コメントありがとうございます。

      自分もかなりの量の資料を読み返してまとめたので勉強になりました。
      お役に立てて光栄です!

  3. 歴代首相だって多かれ少なかれ私腹を肥やしてきただろうに、中間層がタクシンにだけ過剰反応するのは、彼が桁違いの成功者で、ひょっとしたら国王の権威さえも食ってしまうのではないか、国王による手打ちなんかでは収まる器ではないのではないか、という畏れから来ているように思うのですが、どう思いますか?周りにこのテーマについて話せる人がおらず、もどかしいです。

    • >王の権威さえも食ってしまうのではないか、国王による手打ちなんかでは収まる器ではないのではないか、という畏れ

      タイの人は国王も確かに崇拝して、それを理由にチナワット家を叩いてる人もいるでしょう。
      しかし、それ以上に私腹を肥やした事に対して腹が立ってる人が多いように思えます。
      やはり、タイでは、中国ほどではないですが、リアリストで拝金主義的な部分もあるので、政治を利用して莫大な富を得たチナワット家は許せないという感情がメインでしょうね。
      デモにお金をもらって参加してる市民もいるぐらいですから。

      まあ、事情は様々で一概に言えないけど、反タクシンという部分だけで繋がっているように思います。

  4. とってもわかりやすい解説で理解できました!

  5. ヌンソンサム

    私的には、支配階級対一般国民と見えがちですが、根は利権同士の争いと思っています。
    確かにタクシン派支持の多くの人たちは地方や都市部の貧困層ではありますが、富裕層にもタクシン支持者が大勢います。
    タイで5本の指に入る富裕層もタクシンを支持しています。デモの際は炊き出し用に毎週数トンの肉などの食品を提供し支えていました。自分がタイで仕事をしていた際、その会社の経営者家族から直に聞かされた話です。
    このような富裕層の支持者は決して表には出てくることなく陰から支援しています。
    そして一般庶民こそがタクシン支持派の主役であるというように見せているのだと気付きました。
    他にも食品会社経営者、ホテルのオーナー、メディカルスパ経営の医療関係者など様々な人が支援しています。バンコクの中間層の支持者もけっこう多いです。
    結局、自分にとってどちらが利益につながるか、で支持しているだけなのだと思います。

    まとめの部分が少し気になったので、長文でしたがコメントさせていただきました。

    • コメントありがとうございます。
      そうですね、利権の争いといえば全てケースを包含できるのでその言い方でも良いかと思います。
      ただ、全ての権力闘争が利権争いといえる以上少し意味的に広すぎると思いました。

      タクシン派に富裕層がいる件はもちろんあり得ると思います。
      タクシンの台頭によってタクシンとともに莫大な利益を得たお金持ちもいるでしょうから、そういう人がタクシンを支持していてもおかしくはないでしょうね。

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