ヤンゴンはミャンマー最大都市で、政治、経済の中心を担っている中心地である。
このヤンゴンを観光する際に抑えておきたいポイントはいくつかある。物価に比べ、値段の高いホテルばかりなので、少しでもコストパフォーマンスの良くするためにエリアの特徴は把握しておく必要がある。また、移動も日本のように電車網が発達していたり、便利なわけではない。食事の点でも日本とは当然異なる。天気や気温についても事前に把握し、対策を講じる必要があるだろう。
その他、消費だけでなく、トラブルなどの保険という意味でも、ミャンマーの通貨「チャット」の入手方法は詳しく知っておいた方が良い。
この記事では
▶ ミャンマー最大の都市「ヤンゴン」について
の基礎情報から、ヤンゴンを観光する際に抑えておきたいポイントとして
▶ 観光でヤンゴンへ滞在する際におすすめのホテル
▶ ヤンゴンのレストラン、天気・気温、市内の移動手段
▶ ミャンマーチャットへのお得な両替方法
を中心に、参照記事も並べながら詳しく述べていく。実用的な知識は網羅するので、ヤンゴン観光にあたって、これさえ頭に入れておけばガイドブックを別途買う必要も無くなるかと思う。
目次
ミャンマー最大の都市「ヤンゴン」について
ヤンゴンのチャイナタウン。有名ディスコ・エンペラーもあるシュエダゴンパゴダ通り。中華料理店等漢字の看板が並ぶ。
ヤンゴンはミャンマー最大の都市で人口は約410万人。2006年にネピドーへ首都機能は移転しているが、ヤンゴンは未だ政治・経済の中心地であり、ミャンマーにおける重要な貿易拠点となっている。
ヤンゴンにはミャンマー人の他、インドやネパール人を中心とした中東系、中国からの移民も数多く住んでいる。彼らの中にはミャンマー生まれの2世も多い。
ダウンタウンにはインド人街、中国人街も形成されている。
ダウンタウン中心に近いインド人街。カレーなどの香辛料が売られている。
ヤンゴンの街はパゴダと呼ばれる仏塔やイギリス植民地時代に作られた建物が数多く残されている。
ダウンタウンのど真ん中にあるスーレーパゴダ。モダンなビルの多いスーレーパゴダ通りに浮かび上がる姿も幻想的だ(サクラタワーのルーフトップバーより)。
セント・メアリー・カテドラル。仏教国のミャンマーに突如として現れる西洋風の教会。イギリスによる植民地時代に建設された。
また、外国資本や海外からの文化も現状はまだまだ少ない。そのため街では独特な風景や風習を見る事が出来るだろう。公園や湖、パゴダは家族、友人同士、カップルで訪れる人気スポットとなっている。
ヤンゴンの公園では木の日陰で涼むカップルや家族、友人同士の集まりがよく見られる。
ヤンゴン観光から考えるホテルの場所
ボージョーアウンサンマーケット。観光客にも人気のショッピングスポットでダウンタウンの少し北にある。
ヤンゴンは南のダウンタウンからインヤー湖ぐらいまでに殆どの観光スポットがある。
特に、ダウンタウンからカンドージー湖周辺ぐらいまでが観光スポットの密集エリアとなっている。ミャンマー最大のパゴダであるシュエダゴン・パゴダもカンドージー湖のすぐ西にある。
チャウタッジー寝釈迦仏。カンドージー湖から少し北へ行った所にある。
カンドージー湖より北になると、レストランや小売店などの店へ行くにも面倒になる。ちょっとした店へ行くにもタクシーを使う必要性が出てくるだろう。ただ、エリアとして不便でも、ホテル内及びホテル周辺の徒歩圏内の施設が充実していれば、生活する分には不便さは感じないはずだ。インヤー湖周辺はこうした施設が充実したホテルが多く、カップル向けののんびり出来るリゾートホテルも多い。
効率良く観光地を回りたい場合や利便性、周辺環境を考えると、ダウンタウンエリアに滞在するのが最もおすすめである。ヤンゴンのダウンタウンはニューヨークのマンハッタンのようにわかりやすい区画整備がなされており、通りは西から東へ1から順番に数字がふられている。
ダウンタウンでは主要な通り以外は全て番号がふられている(©OpenStreetMapより)。
シュエダゴンパゴダ通り(24と25の間)ぐらいから30後半ぐらいまでの通りは人や交通量も多い。その分お店も充実しており、タクシーも捕まえやすい。ヤンゴンが初めての人はこの辺りのホテルを予約するのが無難かと思う。スーレーパゴダを中心として、ダウンタウン中心部には観光客に人気のスポットが固まっている。
ヤンゴンにおける観光スポットやダウンタウンにあるおすすめのホテルについては下記Google Mapsも参考に。
ヤンゴンの観光及びホテル・マップ。右上の枠の記号(拡大地図を表示)をクリックして拡大で表示すると見やすくなる。左上の矢印が付いた枠記号を押すと、観光スポット、おすすめホテル一覧も表示されます。
ヤンゴンのホテルはバンコクに比べても全体的に値段が高くなっている。これは市場の解放が不十分で、外資を含めたホテルへの新規参入が少ないからである。競争の激しい観光立国タイと違い、宿泊客が少なくても、値段を上げる事で利益を保っている状態だ。
それでもせっかくヤンゴンへ訪れたのならコストパフォーマンスの良いホテルへと泊まった方が良いだろう。エリア別のホテル特徴やコストパフォーマンスで見たヤンゴンにおけるおすすめのホテルについては下記記事を参考に。

ヤンゴンのレストラン
インヤ・レイク・ホテル内のレストラン
ヤンゴンは周辺都市に比べると、外国人観光客がそこまで多くない。観光客向けのレストランは大型ホテルの敷地内や観光スポット周辺に固まっていることが多い。
インヤ・レイク・ホテル内のレストランで提供されている和風の鉄板焼きセット。3.1万チャット(約2560円)
サクラ・タワー上層階にあるレストラン。ヤンゴン中心部ではちゃんとした洋食が食べれるレストランもある。高級レストランでも数千円程度なので、日本よりも気軽に入れるかと思う。
おすすめのレストランにかんしては好みにもよるので一概には言えない。ローカルな食堂や露店も多いが、味や衛生的に人によって合う合わないがあるかと思う。人によっては油が合わなくてお腹を壊す人もいる。
ローカルな食堂型の中華料理店。米麺とチキン饅の合計で1500チャット(約124円)
ダウンタウンには日本料理屋もいくつかあるが、正直あまり美味しいとは言えない。そこまで値段は高くなく、日本人には合う味なのでローカルな店よりも無難ではある。
個人的には中華街等にある中華料理店がおすすめだ。ただ、料理はほとんど3から4人前になっている。複数人では入りやすいが、1人では居づらい部分もあるかもしれない。
予算や滞在期間を考えながら様々なタイプのレストランに挑戦してみるのも良いだろう。ミャンマーへのリピートを考えるならその方が次回以降の滞在は快適になる。旅行における食事の重要性はみな高いはずだ。
M.G.Mホテル近くのレストラン。人気店で客もそれなりに多い。店内も綺麗で料理もまあまあ美味しかった。
ミャンマーにおける食事や飲み物全般に言える事だが、生物(なまもの)はもちろんフルーツやデザートも食中毒には注意した方が良い。お腹を壊し易い人はコンビニやスーパーの乳製品、油っこいものも旅行中は避けるべきである。
配送は日本並みに管理がなされているわけではない。基本的に小売店で売られてるものは30℃以上の中に長時間置かれていたと考えるべきだ。
ヤンゴンの天気・気温
ヤンゴンにおける各月の平均気温は下記のようになる
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平均最高気温(℃) | 33℃ | 35℃ | 37℃ | 38℃ | 34℃ | 31℃ | 30℃ | 30℃ | 31℃ | 33℃ | 33℃ | 32℃ |
平均最低気温(℃) | 17℃ | 19℃ | 22℃ | 24℃ | 24℃ | 24℃ | 23℃ | 23℃ | 23℃ | 23℃ | 22℃ | 18℃ |
ヤンゴンは年間を通して平均最高気温が30℃を越える。熱帯モンスーン気候のため、5~10月が雨季となり高温多湿になる。特に6~8月の降水量は多く、サイクロンと呼ばれる台風と同様の性質を持つ熱帯低気圧が通過することもある。水はけ等都市インフラが脆弱なため、ダウンタウンが水浸しになるのも珍しくない。
旅行に最も最適な時期は、適度な気温で雨量も少ない日本の冬季(12月~2月)になるかと思う。
また、日本のようにしっかりと舗装されている道は殆ど無く、スコールも多いので服は泥などで汚れやすい。こうした理由から、日中はスポーツウェアに使われるようなナイロンやポリエステル生地がおすすめである。
スポーツウェアは旅行中自分で洗う場合も、洗濯乾燥がし易い。汚れが付きにくく、落としやすいという利点がある。オシャレをしたい人もいるだろうが、デートだったり、フォーマルな服装を求められているイベントがなければ汚れても良い格好の方が無難である。
ヤンゴンにおける移動手段
観光客がヤンゴン市内を移動する手段としてはタクシーが一般的である。他にもバスや電車があるが、利便性はそこまで高くない。使い方にもよるだろう。
ヤンゴンにおけるタクシーの相場もきちんと抑えておかないと料金も多目にぼったくられるので、まずは2017年12月におけるタクシーの現地相場から紹介したいと思う。
タクシーの相場
ヤンゴン国際空港からヤンゴンダウンタウンまでの料金は空港敷地内からだと8000~10000チャット(約661円~826円)、敷地外へ出て大通りから拾えば6000~7000チャット(約496円~579円)まで交渉により値下げが可能となる。ミャンマー人は空港からダウンタウンまで5000チャットのことだが、外国人観光客で5000チャットは難しいかと思う。
詳しい値下げの方法や乗車場所は、下記ヤンゴン国際空港から市内へのアクセスの記事を参考に。

ヤンゴンダウンタウンから北のインヤー湖、ダウンタウンの東から西までは3000チャット(約248円)で交渉してみよう。短い距離なら2000チャット(約165円)で十分である。
ちなみに、ホテルからだと配車をお願いする分少々値段は上がる。また、値段が高くとも呼んだ分拒否しにくいだろう。ダウンタウンよりは空港に近いインヤー湖のホテルからヤンゴン国際空港でも、5000チャットは取られると考えた方が良い。
最近はGRABなどのアプリも普及して入る。ただ、大通りであれば、タクシーは普通に捕まえた方が早い。また、値段もGRABの方が少々高めに設定されている。
今後はわからないが、現状は相場を抑え、値段交渉した上で捕まえた方が良いだろう。
もちろん、タクシーがあまり通らないエリアではGRABも使えるので、ダウンロードしておいて損はない。
バス
現地の路線バスは通常、進む経路が分かりにくいため、現地を知らない外国人には利用が難しい。しかし、ヤンゴン・ダウンタウンは東西南北と直線になっているため、迷うことがない。加えて、わずか100チャット(約8.3円)とタクシーの20分の1の料金である。ダウンタウンにあるホテルへ滞在した際には、東西の移動に便利である。
乗り方も簡単で、バスが減速したら料金回収係りが呼び込みを行うのでその際に飛び込めば良い。ただ、完全にバスが停車してない状態で乗車しなければならないこともあり、慣れるまでは戸惑うかもしれない。
降車は目的地に近いところで止まったら降りるだけである。料金は乗車の際に支払う、つまり先払いである。乗る前に料金は用意しておいた方が良いだろう。
バスは揺れるし、中心部に近くなると渋滞でほとんど進まない事もある。ただ、中心から郊外へ行くバスでは座れる事もある。
タクシーとは違い少々疲れるかと思うが、ダウンタウンを頻繁に移動したり、移動費をとことん抑えたい人にはおすすめだ。
ヤンゴン環状線
ヤンゴン環状線はヤンゴン市内の広い範囲を回る鉄道で、ヤンゴンの中心部と郊外を結んでおり、地元ミャンマー人の足となっている。ただ、スピードも遅く、駅からも移動が必要になる。外国人観光客は移動手段として使うというよりも、ヤンゴンの街並みを見ながら観光として楽しむために利用している人が多い。
環状線は日本から寄贈された車両を使っており、行き先だけでなく落書きもそのまま残っている。
名古屋行きの車両には「名古屋の◯◯参上」の文字。他にも日本の中高生が描いたであろう卑猥な言葉や絵がそのまま残っている。
1周3時間の長旅になり、車内は暑くなる事もある。環状線に乗る際は飲み物だったり、暇潰しに本などを持参した方が良いだろう。ヤンゴン環状線は1周しても300チャット(約25円)の値段だ。
1日で効率良くパゴダ等の観光スポットを回りたい人やガイド等を付け観光スポットの理解を深めたい人はツアーがおすすめである。現地ツアーならば日本語の話せるガイドを付けてもそこまで高くない。
現地のツアーはネットから予約した方が安いケースも多いので、プランや値段は予めチェックしておいた方が良いだろう。
ヤンゴンのツアー、マンダレー、バガンへの長距離バス
ミャンマー旅行の際には、ヤンゴン以外の人気観光地である「バガン」や「マンダレー」へ行く人も多いだろう。これら地方都市へは飛行機よりも長距離バスの方が安い。
長距離バスのチケットはヤンゴン市内にある旅行代理店で予約する事が出来る。旅行代理店が多く固まっているエリアとしてはヤンゴン・セントラル駅前やスーレーパゴダ通り沿いとなる。
「バガン」や「マンダレー」行きバスは昼行バスと夜行バスがある。4列バスもあるが長時間の移動となるので広々としたVIPバスの方が良いだろう。マンダレー行きのVIP夜行バスは運行会社にもよるが18500チャット(約1530円)だった。
マンダレー行きの長距離バスステーション。ヤンゴン国際空港よりも北にある。ダウンタウンからタクシーで向かう際は空港へ行くよりも時間に余裕を持っておいた方が良いだろう。当然タクシー料金も空港より高くなる。
ヤンゴンからマンダレーへの行き方について詳しくは下記記事を参考に。

ヤンゴンで両替するには?
ミャンマーで流通している通貨は「チャット(Kyat)」である。ミャンマーで買い物など、決済をしたい場合、当然このチャットが必要になる。
ヤンゴン国際空港での両替
ヤンゴン国際空港にも日本円からミャンマーチャットへ両替をしてくれる両替所はある。しかし、レートは非常に悪く10%以上の手数料を取られる。
ただ、アメリカドル、ユーロ、シンガポールドルを持っている人なら、空港にあるKBZ銀行のレートは悪く無い。
ヤンゴン国際空港にある両替所。荷物チェック後の到着ロビーに出てすぐ正面にある。
ヤンゴン市内での両替
市内ならアメリカドルはもちろん、日本円からの両替でもレートが良い所がある。日本円からミャンマーチャットへの両替ならばヤンゴン・ダウンタウンにあるユニティ・マネーチェンジャー(UNITY MONEY CHANGER)もしくはホワイトベイ・マネーチェンジャー(WHITEBAY Money Changer)がおすすめだ。
ユニティ・マネーチェンジャー(UNITY MONEY CHANGER)
ホワイトベイ・マネーチェンジャー(WHITEBAY Money Changer)
両替所の場所は上記Google Mapsにも記載している(黄色¥のチェック)。
ヤンゴン市内の優良両替所なら日本円からでも手数料が2%程度なので、クレジットカードのキャッシング等でATMから引き出すよりもお得である。
ヤンゴンでの両替について更に詳しくは下記記事を参考に。

ATMにおけるキャッシングやキャッシュカードによる引き出しでは取引手数料に5000チャットの他、ATM手数料(2アメリカドル)がかかる。金額が大きければ10%未満に抑える事が出来るが10万チャット分の引き出しだと、やはり、現金の両替以上の手数料がかかる。従って、空港でも、タクシー代等必要最低限の額に抑えた方が良いだろう。
しかし、キャッシング機能の付いたクレジットカードもしくはキャッシュカードは旅行中いざという時のために持っておくべきである。こうしたカードに対応したATMはミャンマー国内にたくさんある。
クレジットカードを作れない人は為替両替専用のキャッシュカードがおすすめである。
カードからキャッシュを得る方法は現金を盗難・紛失したり、手持ちの資金が不足した場合に役に立つ。特に現金を盗難・紛失し、代替手段を持たない場合、現地に知り合いもいなければ日本大使館へ駆け込むことになる。その際も基本的には電話しか貸してもらえず、「家族等に電話して海外送金してもらって下さい」と言われる。公金のため手続が非常に面倒な上に必ず借りれるとも限らない。
最低でもこうしたカードさえ持っていれば、現金紛失の際も他人に迷惑をかける事無く迅速にトラブルに対処することが出来るだろう。手持ちの現金だけで、こうした保険的な現金を得る手段を持っておかないと、トラブル時は非常に面倒になるのは間違いない。自分は大丈夫と油断している人も多いが、こうした保険は必ず用意しておこう。
クレジットカードを作ることが出来ない無職やフリーター、自営業の人でも、無審査なので為替両替専用のキャッシュカードは作ることが出来る。
海外旅行におけるクレジットカードの手数料から持参必須の理由について更に詳しく知りたい人は下記記事を参考に。

ヤンゴン旅行をより快適にするには?
今回はヤンゴン観光で知っておくべき知識と題して、旅行者の役に立つであろう様々な情報を紹介していった。書籍によるガイドブックよりは短いので、概要も把握しやすいかと思う。
ヤンゴンへの旅行に限らず、予算や観光目的、人数等で何が最適かは違ってくる。実際に滞在しなければ自分に合うかもわからないだろう。
上記の情報を基本事項とし頭に入れた上で、自分自身に合ったものを取り入れてほしいと思う。旅行を快適にするには、その人に最も合った型に当てはめることが大事になる。
また、ヤンゴンに限らず、ミャンマーは入国の際に必要なものがある。こうしたミャンマーを訪れる前に知っておくべき総合的な知識については下記記事を参考に。

ヤンゴン旅行初心者はこちらも必ずチェックしておいた方が良いだろう。
※ミャンマー・チャット、日本円の換算レートを含むこの記事の情報は2017年12月現在のものになります。予めご了承下さい。