パタヤで出会った3年間不法滞在したタイ人が日本で経験したこと。日本人は差別する?

パタヤのホームレス
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パタヤのバービアで「タイのおっちゃん」と出会う

先日の夜バービア(日本で言えばガールズバー)街を歩いていると、可愛い子が目に止まり、その店へ入った。普通にビールを飲みながらバービア嬢との会話を楽しんでいると、タイ人のおっちゃんが話しかけて来た。

「日本人ですか?」

最初は簡単な日本語で話しかけてくる、よく見かけるタイプのタイのおっちゃんかと思った。しかし、少し話すと、そのおっちゃんの日本語が他の典型的なタイのおっちゃんよりも優れていることに気が付く。

高度な日本語をしゃべるので、長い勉強経験があるとすぐにわかった。

 

詳しく聞いてみると、日本への留学経験及び働いた経験もあるとのことである。どうりで上手いわけだと思い、「日本には良く行くんですか?」と尋ねたところ信じられない答えが帰って来た。

「行きたいけど、もう入れないねー。オーバーステイで強制送還されてるから」

「え?」っと一瞬思ったが、おっちゃんがあまりにも陽気に答えるので自分も笑ってしまった。

 

不法滞在で強制送還というので「船で密入国でもしたんですか?」と聞くと、「私ヤクザじゃないからそんなことできない。」「留学のために学校行って、ビザ切れた後も日本いたんだよ。」とこれまた陽気に回答してくれた。

このおっちゃんは隣のバービアのオーナーで、自分が日本人っぽかったから、隣の店から話かけに来たとのこと。隣は日本語の看板もある日本人向けっぽいバービアだったので、そういうことかと納得した。

 

しばらく話していると、最初に付けたバービア嬢よりもそのおっちゃんと真剣に話していた。もはや、自分の興味はこのおっちゃんに完全に移っていた。

 

パタヤのおっちゃんが不法滞在中日本で経験したこと

ここからはおっちゃん(といっても、実際は35歳)が日本にいた3年間を話してくれたので、そのことを綴っていこうと思う。

おっちゃんは初め日本に1年間語学留学しに来たそうだ。しかし、実際お金はほとんどなく、日本で仕事をしながらでないと生活できないぐらいの状況だったらしい。学校を行きながらアルバイトをするが、日本語力があまりなかったため普通のバイトはできなかった。

結局、タイ人の知り合いに紹介してもらったきつい上にアルバイト代が安い仕事を始めた。日雇いの場合がほとんどで、産業廃棄物処理場や工事現場などいろいろと派遣された。仕事があればそちらを優先したので、学校も行けなくなり、住む場所も転々とするようになった。

 

おっちゃんは1日5000円程度のバイト代もほとんどを貯金に回し、日本ではギリギリの生活を送った。ある現場では会話が理解できず、殴られることもあったそうだ。殴られたり罵倒されるのは自分の日本語力のせいだとはわかっていたらしいが、「タイ人だから仕事が出来ない」と言われたことはとてもショックだったとのこと。

 

おっちゃんいわく「差別は無かったが、自分の日本語が上手くないせいでいじめられたりはした」。当時は辛いこともあったが、きちんとお金が入るので、仕事が辛くとも続けることが出来た。むしろ、これで1日5000円ももらえるなんて、楽な仕事だと思ったらしい。ちょっと前のタイの物価は今よりもかなり差がある。タイ人からすれば5000円は10倍の5万円どころか10万円にも20万円にも相当するだろう。

 

ビザの期間が切れても紹介先の仕事を続けていたが、1年が過ぎた頃、いつもお世話になっていた現場の責任者Aさんに呼ばれる。そこで、この仕事を紹介してくれたタイ人の知り合いが警察に捕まったと聞かされる。Aさんはうすうす自分が不法滞在しているとは気付いていたが、今回はその人が捕まったということで、その人がおっちゃんのことを証言すると後々厄介になる。そのため、「もうここで働くことはできない。」と告げられた。

Aさんは時に厳しく、殴ったり、罵倒したりすることもあった。しかし、現場に慣れてきた頃はよく食事にも連れて行ってもらったそうだ。クビは当たり前の決断だとは思ったが、この時の対応で日本人の優しさに触れると同時におっちゃんは号泣する。

Aさんには新しい仕事先も紹介してもらったが、これ以上迷惑はかけれないと、別の友人を頼りに再び引っ越すことを決意した。しかし、別の友人に頼ってからというもの安定した仕事も出来ず生活が厳しくなっていった。

 

それでもタイへは帰らず、露店・祭の手伝いなどをしながらギリギリの生活をしていく。ロクな仕事も無く、そろそろ帰ろうと思った時、同じく不法滞在している外国人が就労している仕事現場を見つけ、そこに働くことになる。

この時おっちゃんは思ったそうだ。

「自分でもこの仕事場を友人の頼りもなく簡単に見つけられたということは、入管Gメンにもすでに目をつけられているのではないか?」

案の定、働いてから数ヶ月後に入管Gメンのガサ入れが入り、そこで働いていた他の外国人もまとめて連行された。

この時おっちゃんは恐怖で震えていた。

「今まで稼いだお金も調べられて持っていかれるのではないか?」

「ひどい拷問があって刑務所に入れられるのではないか?」

様々な恐怖に押しつぶされそうになりながら連行され、その場所でいろいろ聞かれる。

「どこでどういう仕事をどれだけやっていたか?」

おっちゃんはAさんに迷惑をかけてはいけないと、Aさんの現場以外で働いていたと証言した。労働期間は辻褄が合うように、他の現場の期間を若干長く報告した。

 

取り調べが終盤になると、入管Gメンから意外な言葉が出てきた。

「あなたはこれから祖国に強制送還されることになります。日本ではいろいろ苦労しましたね。」

おっちゃんは安心すると同時に泣き崩れたそうだ。そして、入管Gメンから「日本はどうだった?」と聞かれ、おっちゃんは「日本はナンバーワン、世界のJAPAN」とだけ答えた。

 

タイ人の中には日本は1番、世界一と思っている人が多く(何が世界一かはわからないが)、おっちゃんもこの思いを胸に日本へ来た。そして、帰る際にもそのイメージ通りだったと、清々しい気持ちでタイへ返された。タイへ帰った後は日本人はいかに親切だったか、周りの人にも話している。

 

タイのおっちゃんに出会って変わった考え

こうやっておっちゃんの話を聞いて思ったのは不法滞在にしろ、犯罪には表面的な事実以外にも物語がそれぞれ存在しているということ。テレビなんかでも入管Gメンの特集があるが、こうして個々の物語の詳細を聞いていくと、テレビなんかでは100%感じることのない共感だったり、同情だったりが生まれくる。テレビでの不法滞在者は完全に悪者だが、自分はこのおっちゃんには同情してしまった。

 

このおっちゃん、普段はバンコクに住んでるとのことで、この日はたまたまパタヤに来ていたとのこと。すっかりおっちゃんと盛り上がってしまったが、バービア嬢と話す以上に面白かった。おっちゃんもここまで詳細を話したことはなかったとのことだ。

 

また、バンコクで会う約束をし、連絡先を聞いてこの日は別れた。それにしても、世界のJAPANという言葉を聞いて、頑張らなければと思わせてくれたおっちゃんにありがとうといいたい。幸運にも日本人として生まれたことに感謝しながら、日本人として恥ずかしくないようにタイでは振る舞って行きたいと改めて思った。

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コメント

  1. アバター sakura より:

    はじめまして。いつもブログ読ませて頂いてます。私もタイが大好きなので、そんな風に思ってくれてる方がいるってかなり嬉しいです。タイにいると、私も良く色んな人達に助けて頂いたりしてますし、日本人と言うだけで、色々な恩恵を受けてます。これは世界中どこに行ってもそうですね。ちなみに、私もそのうちですが、どこにいても稼げるようになったら,旅に出ようと思ってます。タイはいつも私の拠点なので、色々参考にさせて頂いてます。

    • 付利意雷布亜(freelifer) 付利意雷布亜(freelifer) より:

      >sakuraさん

      コメントありがとうございます。

      自分も台湾等いろんな国に行きましたが、タイほど親日な国が他には見つかっていません。
      それに、タイの人って内面は日本人に似ていますよね。

      >私もそのうちですが、どこにいても稼げるようになったら,旅に出ようと思ってます。
      ほとんどの人が無理だろうと言いますが、月10万円なら本気でやればなんとかなると思います。
      月10万円あれば暮らせる国も多いですし、頑張りましょう!